網羅的な腸内・口腔内細菌叢解析から食生活と病気が見える
森田英利先生
腸内細菌叢と口腔内細菌叢との関連
従来、口腔内細菌に関しては、虫歯''や歯周病の原因として今尚研究し続けられています。
それから、口腔内細菌叢は宿主の免疫系からの影響のみならず様々な影響を受ける事から、生体をより理解するためのバイオマーカーになりうるものです。
また、細菌は、口を経ずして腸内細菌叢にはたどり着けない事から、腸内細菌叢の元になっている可能性が高いのではないかと考えられています。一方、昨今、腸内細菌叢の研究が進み、肥満や各種の疾病をコントロールしている事が明らかになってきています。
したがって腸内細菌叢を理解する事によって口腔内細菌叢についても理解できるのではないかと考えています。
そして、本日のタイトルにもなっている、食事が腸内細菌叢を維持、変化させているという事について説明していきたいと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メタゲノムの言葉について
メタゲノム解析と網羅的細菌叢解析の二つの手法によって、これまで培養できなかった細菌についても解決されるようになってきています。
網羅的細菌叢解析では個別の細菌の16SrRNA遺伝子配列のみをシークエンスしています。
つまり、他の遺伝子を読んでおらず、種または属を特定するために行っています。
メタゲノム解析には、機能的メタゲノム解析と網羅的メタゲノム解析があり、これも今現在メタゲノム解析といいますと、ほとんど網羅的メタゲノム解析を指していると思われます。
細菌叢の細菌のゲノム全体を次世代シークエンサーで全部読んで、そこに存在している遺伝子を一つの塊として理解していきます。
一方、機能的メタゲノム解析というのは、ショットガンクローニングと称され、1980年代に確立された考え方で、スクリーニング系をしっかり作っておいて、そこに目的の遺伝子をサンプルのライブラリーから取り込んできて、スクリーニングできた遺伝子を見つけたという考え方。
確立された時期が早かったため、遺伝子のデータベースも出来ていない、それにシークエンスもまだそれほどままならない時期に確立された手法だと考えております。
結局、部分的に種を特定するもののみを読む考え方と、全体を読む考え方の違いと言えると思います。
じゃ種だけ特定できれば良いのかというと、個別菌の全ゲノム情報がないと、いくら種が特定されても、その種の持つ機能とゲノム情報がわからないと、解析が進まないことになります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Gordon et al, Nature, 2006
腸内細菌叢が注目された一つの大きなきっかけになったがこの論文だろうと思います。
2006年、Natureに報告されたものです。
最初この論文を見たときに、服部先生と、「この内容どうかな、ここまでドラスティックな結果が出るのかな」と話した記憶があります。
その結果、今現在はこれが普遍な話として、この結果を元にしてさらに新たなデータがどんどん蓄積されてきており、大きなキーになる論文であると思います。遺伝的に肥満になるマウス、レプチン遺伝子の変異により正常な機能を有するレプチンを産生できないために、いくらでも食べてします、そうすると肥満マウスになる訳です。
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この肥満になったマウスの腸内細菌を含んだ糞便を健常な無菌マウスに食べさせると、
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肥満になった。
この研究グループの素晴らしいところは、そのメカニズムを細菌叢のほうからと、栄養素の宿主への取り込みのメカニズムなどを確実に理論付けていったことです。
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さらに人の糞便だったらどうなるかというと、マウスと人の腸管あるいは細胞は違うという考え方もありますが、無菌マウスを使っての腸内細菌叢あるいはバクテリアの影響を見るモデルケースは、かなり人とマウスは現象としては似通っていると思います。
結果は、ひとの糞便を食べさせても太った。
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痩せ型のマウスは痩せ型のままである。
肥満腸内細菌叢と健常(痩身)腸内細菌叢があって、肥満型マウスの菌種数が少ないため、そこに健常細菌叢の菌が入り込むことによって、宿主全体が取り込める栄養価の状態が変わり、今まで肥満だったマウスが痩身型になったと考えられます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
肥満型腸内細菌叢はどうやってできるのか
高脂肪食を食べれば太るだろうと思われていますが、高脂肪食を食べると乳化作用のために胆汁酸の分泌が増加します。
これが非常に強い殺菌作用を持っています。
そうすると、胆汁酸に強い菌と弱い菌がセレクトされて、結果的に強い殺菌効果を示された菌が死滅して、生き残る側ばっかりになった時に肥満型細菌叢に変化する、菌が殺されてしまいますから菌種数が減少します。この研究グループでは、高脂肪食を食べさせた実験と餌に人工的に胆汁酸を混ぜて食餌させた実験の結果、同じ細菌叢が出来上がりました。
同じように肥満細菌叢の特徴を示していたということです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
肥満がいかにいろんな病気との関連や健康を害しているかについて、多くの研究者が報告しています。
要因としては、脂肪食摂取、食欲亢進が普通考えられますが、脂肪食摂取は高カロリーと合わせて腸内細菌の変化につながってきます。
レプチン遺伝子の変異やTLR5遺伝子の欠損なども、同様に腸内細菌叢の変化につながってきます。
こうやってみますと、今までの様々な話がどんどん関連するようになり、より深く理解されるようになってきていると思われます。.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
食事のはなし
2013年、NatureにDietという単語で論文が掲載されました.
Dietは痩せるという行為のDietではなく、日常食という意味で使われました。
日常食とはマクロな話で、こういうタイトルをつけた論文がNatureにどういう形で載るのかが、私の最初の印象でした。
動物性食品とか植物性食品とかそういうアブストラクトの段ではかなり大きく書き込みがされていました。
最終的には、食事というのは細菌叢を非常に速い速度で、そして可逆的に変化させる、ライフスタイルが大切ですよということを示したものです。
Natureというのは、いかにマクロな話をいかに緻密に解析するかというギャップがあって、掲載されるものが多いようです。このオリジナルの論文は解析がとにかくすごいです。
本当に細かい仕事がなされていて、その中で興味深いものをピックアップすると、どのくらい迅速に食生活の影響が現れるかというと、1日足らずで出てきている。
自分がこれまで動物性食品を食べてきましたが、「これは反省かな」と思って、「植物性食品にきり変えよう、結果がどうかな、いつになるかな」と思っていると、思いっきり速い。須田先生の講演に、バクテリアの日動変化の話がありましたが、1日の中でも菌が消長していました。
ということは、食事で腸内細菌が変化している、人間の感覚でいうとたった1日と思うかもしれないが、腸内細菌にとっては非常に長い時間、十分に変化に足る時間であると思われます。さきほどの2006年Natureの肥満細菌叢の研究でも、無菌マウスに、マウスや人の肥満型腸内細菌叢を経口投与して、2週間後に体重増を確認している。
ですので迅速な生体の影響が存在しています。.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、2012年Natureにも、やはりDietという言葉の論文が出ております。
この論文は、年配者にとって、腸内細菌が大切ですよという内容です。
なぜかというと、若者より、年をとった人の方が腸内細菌のばらつきというか個体差が大きくなると書いてあります。
もし人間として健常な腸内細菌叢が存在するとすると、年取っていくとそれがバラバラになっていく、それを日常食でいい状態をキープしましょうということだと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それで、実際にいい食事(植物性のバランスの良い食事)が老化現象を減少させる効果があると結論づけています。
ということは、日常食というものは、そのうち何かいいことがあるというものではなく、すごく速い段階で生体が動いていて、我々もそのことを実感できるのではないかということだと思います。
このことについては、臨床や研究の場面でも、もう話をしても良い段階だと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
食事と腸内細菌叢
食事と腸内細菌叢は変動するよということですが、総説的にまとめたものですが、いろんな形の食事をすると(網羅的に見た場合)、各々の中で減少する菌と増加する菌があります。
この図の中で増加すれば良いのか減少すれば悪いのかということではありません。
食べ物の種類によって菌腫が変化するということです。
個別に見ると、精製糖をとると、クロストリジウムデフィシルやパーフリジェンスが増えるが、これは増えるのは良くない。
それぞれ意味を考えながら、一個づつみて、増えた方が良いんだ、減った方が良いんだというふうな話になります。
ここのところで、食事の種類によって特徴的に変化する菌種あるいは属、サフラワー由来高濃度不飽和脂肪酸では門が存在しているということが理解できると思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
dysbiosisについて
先ほど、須田先生がdysbiosisという言葉を使われました。私も最近よく耳にする言葉です。
日本語に訳すると、無理やりですが、「細菌叢のバランスの乱れと機能の低下」となります。
「機能の低下」というのは、非常にわかりにくいのですが、いろんな意味が含んでいて、結局いろんな代謝系を持ったバクテリアが腸内に住んでいますが、その代謝系とできた代謝産物を全部ひっくるめて、健常とは違う形を日本語でなかなか一言では言い表せないので、今現在、英単語あるいはカタカナでデスバイオシスが使われています。
現在、研究のメジャーになってきている、あるいは結果として行き着いたところがデスバイオシスであったということであろうと思います。
細菌叢のバランスが乱れたら、なんでいけないのかというと、異なる菌種組成になって、産生される代謝物や細菌による生体への作用が変化する、それから菌種数減少し、細菌が持つ合計の遺伝子数が少なくなって、いろんな代謝系への影響が出ているんじゃないかということです。
細菌叢の乱れや変化は、結果的に、メタボローム解析の際、代謝産物がどうなっているのかを合わせて見ることが重要になってきています。ですので、細菌叢が乱れることが悪いのではなく、乱れた結果、できた物質、できなかった物質が生体にどうゆう影響を与えるのかというような流れで考えるべきだと思います。
だから、dysbiosisは良くないんだ、病気になる可能性があるんだということだと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本ヒト常在菌研究会の研究会のメンバー紹介
服部先生に会長になっていただき、立ち上げた会です。
沖先生には写真を撮っていただいているため、後で貼り付けて、このような形になっています。
森田先生の講演では、以上の内容の他に、- 100歳を超えた方の腸内細菌叢のサンプリング
- アルツハイマー型認知症と健常者のメタボローム解析
- トップアスリートの腸内細菌叢(土壌細菌に由来する菌の意味?)
- ヒト常在細菌叢を構成する主な細菌(日本人と外国人では属が全然違う)
- 細菌叢に影響を及ぼすプレバイオティクスなどを含む食生活
- その他のお話がありました。
懇話会質疑応答
講師 森田先生
Q1.
炎症と口腔内・腸内細菌が関連しているとのことですが,細菌叢の変化が炎症の原因になっているのか、それとも炎症の結果として変化しているのかについてご教授ください。
A1.
腸内細菌叢の変化(dysbiosis)が先か、病態が先かというご質問ですが、両方がお互いに増補しあっているということだと思います。
例えば、食事やストレスなどの影響で腸内細菌叢のバランスに乱れを生じると生体に影響を及ぼします、すると生体がそれに反応して様々な代謝物質を出したり免疫反応を起こして、それが腸内細菌叢に影響を及ぼす、それがまた生体に影響を及ぼし、そして結果的に悪い方向に変化するということではないかと思います。
最初のきっかけが、何かのきっかけで病気になってそれが腸内細菌叢に影響を及ぼした、という形もあるのではないかと思います。
Q2.
食事が腸内細菌叢に大きな影響を与えるとのことですが、一方、腸内細菌叢で個体識別ができるという話もありました。
食事の変化により、個体識別に影響を及ぼすくらい細菌叢は変化しますか?
A2.
基本的に、一度定着した細菌は取り除けません。
加齢、食事や体調などの影響により細菌叢が変化する、というのは構成菌種の割合の変化を言っています。
腸内細菌叢で個体識別ができるという考えは、腸内細菌叢の菌種により判定されます。
一度定着した細菌種の種類はほとんど変わらないので、個体識別は可能である、という考え方です。
Q3.
100歳以上の方の糞便を医師の協力により40例以上集めたとのことですが、医師の集めたものは基本的に病気の人のものが多いのではないでしょうか。
健常者(少ないと思いますが)の糞便はどの程度の割合で集まっているのでしょうか?その結果(細菌叢、食生活、生活習慣等)が知りたいです。
A3.
基本的に、100歳以上の高齢者は特定の病気になれば生きていられないと思います。
実際のところ、100歳以上のヒトの糞便や唾液を採取するためには、医師の資格をもつ方が訪問しないと、なかなか採取をしていただけない、ということです。
余談ですが、100歳以上になると死に難くなるようです。99歳頃まではある一定の割合で年齢ごとに亡くなられていますが、100歳を過ぎると横ばいになります。
100歳以上の方のもつ腸内細菌叢やその代謝系について興味深いデータが出ております。
それをどう解釈し、若い人たちの健康に、どのように関連付けていくのかがこれからの課題だと思います。
質疑は多数寄せられました。
懇話会の回答をさらに修正して、分かりやすい形にしております。
付録 メタゲノム解析のあらまし
資料提供 森田英利先生
メタゲノム解析
環境中に生存している多種多様な微生物を調べるには、従来は、まず、環境中から微生物を分離し、培養して、増殖させることが必要であった。しかし、微生物のほとんどは人為的培養が困難である。培養という過程を経ずに、微生物がもつ核酸、遺伝子、DNAのすべてを抽出・収集し、これらの塩基配列を網羅的に調べれば、個々の核酸や遺伝子がどの微生物由来かはわからないものの、環境中の微生物の集合体がもつ遺伝子群が分かる。このような手法をメタゲノム解析と呼ぶ。
環境中から直接 DNA を抽出して、その中の 16S rDNA の塩基配列を調べることによって、膨大な未知の微生物が存在することが明らかになってきた。しかし、この方法ではそれらの微生物がどのような機能を持つかまではわからなかった。そこで、特定の配列を選別するのではなく、すべての塩基配列を読み出し、各環境中に存在する機能に対応する配列を明らかにすることによって、複合体の構造と機能を解明する試みがなされる。
地球上に棲息する微生物の99%以上は単独では培養できない菌種であると推察されており、メタゲノム解析は環境中に埋没する膨大な数の未知の微生物、未知の遺伝子を解明する手法である。
(16S rRNA遺伝子配列:これはゲノムにおいてこの部分が比較的短く、生物種内において保存性が高い一方で、異なる種内においては変化が見られるため、ゲノム全体をシークエンスするよりも簡便に環境中の微生物群集を調べることが出来る。)メタゲノム解析には、特定の遺伝子を取り込んでゲノム解析する機能的メタゲノム解析と、サンプル中に含まれる微生物のゲノム全体を読む網羅的メタゲノム解析があるが、現在はメタゲノム解析というと、ほとんど網羅的メタゲノム解析を示している。
メタボローム解析
生体内に存在する全代謝産物を網羅的に解析することを「メタボローム解析」と呼ぶ。
この技術は、微量の液体の中に含まれる全ての物質の量を計測することで、それぞれの違いを明らかにするというもの。
例えば、特定の病気の患者と健常者の血液、尿、唾液などをメタボローム解析することで、その患者特有に増える物質が見つかる。それが病気発見のためのマーカーになる。
これまでに唾液から口腔がん、乳がん、すい臓がんを発見する技術や、血液からうつ病を診断する技術を開発されている。イオンクロマトグラフィー(IC : Ion Chromatography)
イオンや極性分子のような電荷をもつ分子を分離するクロマトグラフィーである。
大きなタンパク質、小さな核酸、そしてアミノ酸などを含むほとんどの電荷分子でこの方法を使うことができ、タンパク質の洗浄、水の分析、品質の調整などに使われている。質量分析器 (MS : Mass Spectrometer)
計算技術 (Informatics)
メタボローム解析に用いられる機器がMSで、細胞の働きを包括的に理解するため、DNA分子の質量を測定し、試料 に含まれる分子の質量を、瞬時に測定することができる。
DNAの塩基配列の網羅的解析 (ゲノム解析)、mRNAの網羅的解析 (トランスクリプトーム解析)、タンパク質の網羅的解析 (プロテオーム解析) は盛んに行なわれてきた。
しかし生体には、DNA、RNA、タンパク質といった高分子の他にも、比較的低分子であるアミノ酸、有機酸、脂肪酸といった物質も多く含まれる。
細胞全体の働きを理解するためには、こうした低分子の物質を解析することも必要不可欠で、こうした低分子の代謝産物を解析するための方法として、メタボローム解析が発達してきた。
メタボローム解析では、これら膨大な代謝物データを解析する計算技術 (インフォマティクス) が必要不可欠である。
インフォマティクスを駆使することにより、サンプルにどのような代謝物が含まれているか、その代謝物の量はどの程度含まれているか、また複数のサンプル間でどの程度差があるかを、瞬時にして知ることができるようになる。
さらに主成分分析などの多変量解析を行なうことにより、各サンプル間の類似度などを知ることも可能となり、単純なサンプル間の比較だけでは分からなかった事象までも分かるようになってきた。
メタボローム解析において、インフォマティクスとの融合は無くてはならないものとなってきている。主成分解析(PCA : Principal Component Analysis)
直交回転を用いて変数間に相関がある元の観測値を、相関の無い主成分とよばれる値に変換するための数学的な手続きのことである。
主成分解析の結果は、元の観測値(対象)に対応した変換後の値である主成分得点と、各々の主成分得点に対する変数の重みに相当する主成分負荷量として得られ、一般的にはこの2つの状況をそれぞれに可視化した主成分プロット、あるいは2つの図を重ねあわせたバイプロットを通して結果を解釈する。上図は、実際の解析結果である。
アルツハイマー型認知症患者群と健常者群は明らかに異なる集団であることが分かる。
なお、幸いにも、恒志会メンバーのA先生は健常者群に属していた。